連日のニュース映像で、熱中症により多くの方が病院へ救急搬送されていることを目にします。
全日本病院協会のホームページによる熱中症の説明によると、熱中症とは体温が上がり体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かなくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こす病気のこと、と定義されています。
これは本当に恐ろしい病気です。自分が感じる以前に症状が進行していて、気付いた時には倒れる寸前までいってます。
私も２度ほど熱中症にやられました。
１度目はあるイベントを河川敷でやっていて、MCをつとめていました。事前のチェックで気温が４１度を超えていることは分かっていましたが、山で毎日毎日チェンソーを使っている私が、たかだかこんなイベントごときで熱中症なんぞ、なるわけがないと、たかをくくっていたのです。しかし、突然クラッとめまい、そして嘔吐感。危なかったですが、とりあえずその場は何とか乗り切ることが出来ました。原因はたぶん帽子を被ってなかったことですね。
２度目は山の中です。その日は仲間５人ほどで、建設会社から委託された林道の路線伐開でした。そこはヒノキやスギの林ではなく、低い灌木が生え、クマザサに覆われたブッシュ帯。炎天下、容赦なく降り注ぐ太陽光線の下、チェンソーを振り回しながらの前進。朝１０時くらいまでは、こんなに汗をかく仕事は、他にあるかなー、なんて軽口をたたきながらやってました。その日は新人のメンバーもいて、たびたびチェンソーのバーを立木に喰われて、そのたびにレスキューに向かうため、５０メートルほど戻るを繰り返していました。経験の浅い頃は、雑木の重心を見誤るため、チェンソーのソーバーが挟まれることはよくあること。慣れてくると伐り口が閉じてくるのが分かるので、素早くソーバーを抜き反対から伐り直す。こればかりは皆んなが通る道なので、レスキューはやむを得ないですね。
またそうこうしているうち、だんだんとバテてきている自分に気付き始めます。皆んなにも休憩をするように指示を出しながら、自分自身も気力が湧いてこなくなり、足も出なくなる。喉が乾いているが、２０メートルむこうのリュックを取りに行くことができない。その場にたおれこんで、とにかく休憩をとる。と、「 持ってきたで〜 」、とスーパーマンのように体力のある先輩が、リュックを持ってきてくれました。神にしか見えなかったですね。（現社長ですが）しかしその先輩も隣りに倒れ込み、全員１言も喋らないで１時間半。すると下の方からガサッガサッと音が近づいて来る。クマでも出たか。でも動けん。と思っていたら、リュックを背負った年配の女性が１人で登ってこられました。その場所はちょうど尾根で、登山道が付けられていましたが、ぜんぜん気が付きません。５人の男たちが倒れているのを見て、かなりビックリされたようでした。なんでも北アルプスに登るトレーニングをされているとのこと。ご安全に、と見送りました。
誰からともなく、帰りましょうよ、の声。フラフラしながら車までたどり着いた、忘れることのできない、思い出です。
今でも、暑いときには熱いものが体に良い、と言う人はいます。確かに熱いものは体のために悪くはないとおもいますが、時と場合によりますね。熱中症の人間に熱いものを飲ませる人は、まずいないでしょう。真夏にチェンソーをバンバン使っている連中が、休憩時に、熱いお茶を飲むわけがありません。暑い時には、とにかく臓器を冷やすようにしなければならないと思ってます。その時々で、体が欲しがる温度のモノを体に与える。それは飲み物であったり、冷却タオルを首筋や脇の下に入れるなどです。牛乳を飲むことも推奨されていますね。手のひらを水道水程度の温度で冷却することも効果的だそうです。
とにかく、自分の体は自分で守らなければなりません。他人の目を気にすることなく、こまめな休憩をとって貰いたい。先輩となる人間は、自分の体に留意することは勿論ですが、後輩の体調管理にも万全を期して貰いたい。これはきつく皆んなに言い渡しております。それでも熱中症と見られる症状が発生した場合、躊躇なく救急車を呼ぶことが大切です。１分1秒を争う事態にならないように、日頃から意識の徹底をお願いしたいものです。
